今回は2022年のワーケーション事情を振り返ってみます。2021年は様々なメディアに取り上げられたワーケーション、2022年はあまり見かけなくなりましたね。ワーケーションは廃れてしまったのでしょうか?
実はTMRでは2022年当初から今年は「落ち着く」と予想していました。詳しくはこちらの記事を参照してください。そしてこれはワーケーション定着への過程だと考えています。
この記事は旧ホームページの記事を再掲載したものです。オリジナル投稿は2022年12月です。
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まずはワーケーションの市場規模を見てみましょう。こちらは2022年9月に矢野経済研究所が調査レポートを発表しています。これによると2022年の国内ワーケーション市場規模は845億円(予測)となっています。2021年が699億円(見込)なので+20.8%の成長でした。2023年は1084億円(予測)となっており+28.2%と更に成長が期待されています。
2021年3月の発表資料では市場規模は2021年777億円(予測)、2022年909億円(予測)でした。当初予想ほどワーケーション市場は伸びていないと言えるでしょう。
このレポートは市場規模を「宿泊インパクト」、「地域インパクト(飲食など日中の活動)」、「研修インパクト」、「国家予算」に分類しています。
最も規模が大きく、また成長が期待されるのが宿泊インパクトです。矢野経済研究所のリリースでは個別セグメントの金額規模は記されていませんが資料から推定すると宿泊インパクトが約330億円、地域インパクトが約120億円と考えられます。2022年の宿泊業(ホテル、旅館など)市場規模は帝国データバンクの調査によると約3兆円と言われているので約1%のインパクトになります。
2022年は全国旅行支援が旅行需要回復に貢献したのでその陰に霞んでしまった印象です。全国旅行支援の経済効果はNRIの調査では6926億円、大和総研の調査では約8300億円と推測しています。ワーケーションのインパクトの20倍以上効果があったようです。
金額規模ではなくワーケーションを行っている人はどのくらいいるのでしょうか?こちらは2022年に発表されたいくつかの調査から推定してみます。
2022年3月に観光庁が発表した資料によるとワーケーション経験がある人は4.2%。これは同じ観光庁の2021年調査(4.3%)から微減です。また2022年7月に内閣府が発表した調査ではワーケーション実施者は4.0%とのことでした。
両調査とも中央省庁が実施していて調査対象人数も10,000人以上。この値は信憑生がありそうです。2022年の就業者人口は6755万人。4%で試算すると約270万人がワーケーション経験者と言えるでしょう。これは京都府の全人口より多く広島県の全人口と同じくらいです。
一方、リモートワーカーに限定した調査だとワーケーション経験の比率は一気に高まります。2022年9月にスプラッシュトップ株式会社が行った調査では22.4%、2022年10月にB2Bサービス比較メディアのUtillyが行った調査では22.17%がワーケーション経験があると回答しています。
この調査はいずれもリモートワーカーを対象としたもので、いずれも約22%と近い値を示しています。22%と言えば4、5人に1人という比率。リモートワーカーの中ではワーケーションはかなり普及してきていると言えるでしょう。
先に紹介したUtillyの調査ではワーケーション経験者の満足度は89.8%、なんと9割近い満足度です。他にも株式会社ROIの調査でも満足度は81%となっています。ワーケーション経験者は大きな満足を得ているようです。では具体的には何が満足させるのでしょう?
旅行会社であるエクスペディアが2022年9月にワーケーションについての調査を発表しています。その中にワーケーション経験者に良かったことが記載されており、上位5つを記します。
株式会社ROIの調査でもワーケーション経験者に何が満足であったかフリーコメントで質問しています。それによると「リフレッシュできて良かった」「自由な時間が持てて仕事がしやすかった」「会社への満足度が上がった」などが挙がっていて、エクスペディアの調査と同様の傾向になっています。
このようにリモートワーカーの中では定着しつつあるワーケーション。ですが社会全体としては普及は進んでいないようです。このギャップはどこからきているのでしょうか?
3年に渡るコロナの経験からリモートワーカーは働く場所を固定しない働き方に親しみ始めています。ことさら「今日はワーケーション」と宣言せずに旅先や実家から働いている、という人も多そうです。
エクスペディアの調査によればワーケーション経験者の57%は「こっそりワーケーション」とのこと。主な理由は以下の3つです。
職場(周囲)の目線が気になるのでしょうね。ワーケーションに対して否定的な印象を持つ人もいますから、ことさら宣言せずに「こっそりと」経験している人が多そうです。
ワーケーション以前にその前提となるテレワーク定着の課題もあります。2022年になりコロナ禍でも行動制限が緩和されました。これによりワーケーションも自由にできるようになったはずなのですが多くの企業ではむしろ逆行。オフィス回帰や出社を増やす企業が増えています。テレワークする人が減ればワーケーション実施者が減るのも当然ですね。
東京都が毎月テレワーク実施率を発表しています。これによると最新の2022年10月テレワーク実施企業は54.1%。毎月凸凹するものの昨年8月のピーク(65.0%)から下降トレンドです。
就業者人数のトレンドは内閣府が調査しています。こちらも最新2022年6月テレワーク実施率は30.6%。前回2021年9-10月の32.2%から下落しています。
2022年はワーケーションという短期的な「自由に働く場所を選ぶ」ことよりも、居住地自由化という「自由に暮らす場所を選ぶ」の方が注目されました。地方移住や二拠点生活をする人がメディアに取り上げられ、その中にはフルリモートで働く会社員の例も紹介されています。
フルリモートに力を入れる企業ではワーケーションから一歩さらに踏み込んだ「居住地自由化」の制度化も増えました。メルカリ、DeNA、ヤフーなどのIT企業が率先して居住地自由化の制度を発表しはじめたのです。その他にもスタートアップなど小規模企業でも居住地自由化を採用している企業も増えています。
その中でもインパクトがあったのがNTTグループの発表です。グループの中でフルリモート勤務が可能な約3万人を対象に居住地自由化を2022年6月に発表しました。
IT企業の競争力の根源は優秀なエンジニアです。開発エンジニアの仕事はフルリモートでも勧められます。優秀な人材採用のためには柔軟な働き方が有効なアピールポイントになるためです。
ワーケーションは二極化してきていると言えるでしょう。社会全体ではテレワークからオフィス回帰が進み、ワーケーション人口が飛躍的に増えることは今後も難しそうです。
一方、リモートワーカーの中ではワーケーションなど「新しい働き方」が日常になりつつあります。さらに地方創生テレワーク(転職なき地方移住)や二拠点生活など「新しい暮らし方」も広まっています。ワーケーションという呼び方ではなくとも確実に「新しい働き方。暮らし方」はリモートワーカーの間で広まっていくことでしょう。
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