今回は2023年のワーケーション動向予想をしてみます。2022年、ワーケーションの市場規模、実施人数ともにほぼ横ばいと言われています。では2023年はどうなるのでしょうか?
2023年、「ワーケーション」という言葉はさらに下火になることでしょう。しかしリモートワーカーの中では旅行先や実家などで仕事をこなす「新しい働き方」は当たり前のこととして定着する、と予想します。
TMRは2022年当初から今年の「正しく落ち着く」ワーケーション状況を予想していました。2023年のトレンドも予想します。2022年の振り返りはこちらの記事を参照してください。
この記事は旧ホームページの記事を再掲載したものです。オリジナル投稿は2023年1月です。
TMRってどんな会社なの?代表はどんな人なの? → よかったらこちらも参照ください
ここでワーケーションの効果について振り返ってみましょう。旅行会社であるエクスペディアが2022年9月にワーケーションについての調査を発表しています。その中にワーケーション経験者に良かったことが記載されており、上位5つを記します。
脳は新しい体験から刺激を受け、新しい発想を生むと言われています。環境を変えることはリフレッシュできるだけでなくイノベーティブな発想も得やすくなるのです。
また時間を区切って集中する、というのは古くから文豪が旅館に缶詰になるなどで用いられています。ワーケーションは「場所を変える」「時間の制約を作る」ことで効果を得られます。
まずは定量的な予測をしてみましょう。金額ベースでの市場規模予測とワーケーション実施者数を予測します。
2022年9月に矢野経済研究所が「ワーケーション市場に関する調査」を発表しています。ワーケーションの市場規模を定量的に示す資料は他にあまりないのでこちらをベースに予測していきましょう。
これによると2022年の国内ワーケーション市場規模は845億円、2023年は1084億円と予測されています。これは+28.2%の成長の予想です。
2023年も全国旅行支援が計画されています。ワーケーションでこの制度を利用する人も多いでしょう。NRIは全国旅行支援の経済効果が1〜3月分のプラス効果だけでも2462億円になるという予測を発表しています。この一部にはワーケーション需要も含まれることでしょう。
次にワーケーションを楽しむ人数を予測します。まずは2022年実績を振り返ってみましょう。以下の2つの調査をベースで考えます。
これによると観光庁調査で4.2%、内閣府調査で4.0%ということでいずれも約4%が2022年のワーケーション経験者ということになりました。なお、ワーケーション制度の導入企業は観光庁調査によると5.3%とのことです。
TMRでは2023年のワーケーション経験者は6〜7%程度と予測しています。これは最新の就業者人口(6667万人)から算出すると400〜466万人と想定されます。
2022年9月, 10月に民間企業スプラッシュトップ株式会社、 Utillyがワーケーションに関する調査を行いました。これによるとリモートワーカーにおけるワーケーション経験者の比率はいずれも約22%となっています。行動制限の緩和が進む中での調査であり、TMRはこの約22%というトレンドが2023年も継続すると考えます。
ワーケーションはリモートワーク(テレワーク)の実施が前提です。先の内閣府調査ではテレワーク実施者は30.6%となっています。リモートワークへの取組みは企業間で二極化が進んでおり、定着する企業とオフィス回帰を強める企業に分化しました。そのためTMRでは2023年のリモートワーク実施率は約30%で推移すると考えています。
上記条件から全体で考えると30% x 22% = 6.6%と推定。調査データのばらつきを考慮し6〜7%と予測しています。
定量的な市場規模や実施人数以外にワーケーションのトレンドも予測してみましょう。TMRでは以下が2023年ワーケーショントレンドと予測しています。
3年間に及ぶコロナ禍でリモートワーカーは既に「場所を問わない働き方」を経験しています。例えば実家に帰省し、そこで働く。旅行に行きつつ旅先で限られた時間働く。集中したい時に環境を変えて働く。これらは既にリモートワーカーの中では一般的なことになっています。
オフィス・自宅以外で働く際の注意点などライフハック的な情報も整備されてきました。行動制限の緩和が進み、全国旅行支援などの施策も旅行を後押しします。「場所を問わない働き方」は珍しいものではなくリモートワーカーにとって自然なこととして定着するでしょう。
「場所を問わない働き方」という行動は定着するものの、言葉としてのワーケーションは徐々に使われなくなるでしょう。TMRはいわゆる「こっそりワーケーション」が主流になると予測します。
2022年9月に発表されたエクスペディアの調査によればワーケーション経験者の過半数、57%が「こっそりワーケーション」とのことです。主な理由は以下の3つです。
エクスペディアの調査ではワーケーション実施率は12%となっており他の調査より高い実施率となっています。これは調査対象者にリモートワーク経験者が多く含まれる(約6割)ことが影響していると考えられます。
一方でワーケーションという言葉に対して遊び、サボリといったネガティブな印象を持つ人もいます。そのため「今日はワーケーションです」と宣言することに罪悪感を感じる人もいるようです。
現実にはメールやチャットの連絡が取れ、ビデオ会議の背景をバーチャルなものにすれば、どこにいても仕事は可能です。ことさら主張せずに、ワーケーションの実利だけを得たい。2023年はそんな人が増えて行くでしょう。
ワーケーションでも利用できるワーキングスペース施設も増えてきました。デスク、電源、WiFi環境が整っているのはもはや当たり前。各施設で特徴を打ち出しています。
2023年ワーケーション向けワーキングスペースに求められるのは「プライベート空間」と「コミュニティ」となるでしょう。
プライベート空間は秘匿性の高いビデオ会議などの際に重宝します。ホテル宿泊などであれば部屋から会議参加してもよいのですが、チェックイン/アウトの時間と会議が合わないケースもあります。ドロップイン利用できるコワーキングスペースでも個室ブース需要が高まるでしょう。最近では駅にもブース型個室があるところもあり、移動中でもプライベート空間の確保が可能になってきています。
もう一つの「コミュニティ」は他の利用者との交流を指します。周囲の人との情報交換はクリエイティブな刺激を生み出します。従来のオフィスにおける「わいがや」「雑談」の価値に近いものです。
オープンスペースがあるワーキングスペースでは自然と利用者同士の会話が生まれます。越境(社外・異業種)型の「わいがや」「雑談」の効果は閉じた同僚との会話以上に刺激を得るものとなるでしょう。
質の高いコミュニティを持つワーキングスペースは「あの人」に会いに行く価値を与えてくれます。今後は単に便利な設備があるだけでなく優れたコミュニティがあるワーキングスペースの人気が高まっていくでしょう。
ワーケーションブーム以前からMICEの一環としてオフサイトでの合宿・研修は行われていました。経営戦略合宿。営業キックオフ。成績優秀者アワード旅行。これらは行動制限の緩和に伴い再活性化することでしょう。
リモートワーク主体のチームでもエンゲージメントを高めるためにはオフサイトに集まる合宿型の活動は有効です。合宿で腹を割った関係を作った上で日常業務は分散して効率的に行う。メリハリをつけた働き方が増えてくるでしょう。
ワーケーションの「場所を変えることで新しい発想を得る」という効果は研修でも有効です。新しい技術の習得を目指す合宿研修。ダイバーシティ&インクルージョンの研修などは社外のメンバーと同席する越境型の方がより効果を感じることもできるでしょう。
キャズム理論とは新しい潮流が普及することを予想するために用いるフレームワークです。ユーザー層を購買志向から5つの層に分類し、その順番で普及する、というものです。詳しくは書籍などを参照ください。
--- (この間には価値観の大きな溝があります) ---
TMRでは2023年ワーケーション実施者を6〜7%と予想しています。これはイノベーター層からアーリーアダプター層へ普及が広がっていることを示します。
アーリーアダプター層の興味は実利です。ワーケーションにメリットを覚えれば多少のリスクを取ってでも実行する購買層です。「こっそりワーケーション」の普及はまさに実利を求めるユーザーが広がっていることを示しています。
一方アーリーアダプターからアーリーマジョリティへ広がるためにはキャズムと呼ばれる深い谷を越える、大きな転換が必要となります。TMRではこれはリモートワークの本格普及が鍵と考えています。
リモートワークが約30%に留まる現状ではワーケーションはアーリーアダプター層まで。つまり最大で約16%の普及に留まるだろうと考えています。
ワーケーションをリモートワーカーの中でのトレンドと位置付けた場合はどうでしょうか?リモートワーカーの中では既にワーケーションは既に2割を超えて普及しています。キャズム理論に基けば既にアーリーマジョリティ層に広がり始めています。
これは実家への帰省など、ハードルの低い場所での「こっそりワーケーション」などが普及に貢献していると考えられます。一般にインフルエンサーと呼ばれる人はアーリーアダプター層に多く、また、アーリーマジョリティ層は身近なインフルエンサーの影響を受ける層と言われています。
職場のオピニオンリーダーやSNS上のインフルエンサーなどの影響を受け、リモートワーカーの中では既にワーケーションは普通のものになり始めていると言えるでしょう。(ただしこっそりワーケーションかも知れません)
ワーケーションの多くは1泊から2泊程度。2023年八ヶ岳南麓でワーケーションを楽しめるおすすめスタイルを紹介します。
八ヶ岳南麓はハイキング、スキー、キャンプなど様々なアクティビティも楽しめます。例えば午前中ゲレンデでスキーを楽しみ、午後からテレワークで働く、といったメリハリのあるスタイルも可能です。
宿泊はお気に入りの宿でリラックス。仕事は快適なワーキングスペースで短時間集中する。そんなスタイルがおすすめです。例えば富士見 森のオフィス、神社の杜のワーキングプレイス8MATOなどを利用すれば快適な環境と良質なコミュニティの中で働くことができます。
家族でのワーケーションなら、慌ただしくアクティビティを盛り込むよりもホテルでゆっくりと過ごすのはどうでしょう?
例えばリゾナーレ八ヶ岳ならばキッズ向けアクティビティも充実。子供はたっぷり楽しみ、大人はしっかり働く。夕方からは八ヶ岳の食材やワインを家族で味わう。そんな充実した1日を過ごすことができます。
チームで行う合宿型のワーケーションも2023年は増えるでしょう。普段リモートで働くメンバーだからこそ濃密な経験共有がエンゲージメントを深めます。
純粋にエンゲージメントを目的とするならばレクリエーション型もよいでしょう。かつての職場旅行に近い目的です。例えばFOLKWOOD VILLAGEは初心者でも楽しめるキャンプ施設です。一緒に火を起こし、食事を作る、という経験共有がチームの一体感を強めます。
一方で研修や開発合宿などを目的とする場合、神社の杜のワーキングプレイス8MATOなどのワーキングスペースを使うのもよいでしょう。今はどこにいても仕事が追いかけてくる時代です。時折空き時間を作って各人がメール対応などができるようにすることも効果的です。
2023年は「働く場所を自由に選ぶ」というワーケーションの実利を求めるリモートワーカーが増え、新しい働き方が定着する1年となるでしょう。
ただし周囲への罪悪感から「こっそりワーケーション」が増え、ワーケーションという言葉はあまり露出されなくなります。特に個人では「ワーケーション」という言葉を使わずにこっそりと実利を得る層が中心となるでしょう。
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