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地方移住動向:3年ぶりに東京転入超過が増加。再び一極集中で地方移住ブームは終わり?

2022年、再び東京への転入超過が拡大

2023年1月30日に総務省統計局から「住民基本台帳人口移動報告 2022年(令和4年)報告」が発表されました。今回は3年ぶりに東京都の転入超過(転出する人口より転入する人口が多いこと)が拡大した、として話題になりました。

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実は2021年は東京都特別区部(23区)は統計史上初めて転出超過となっていました。そのため東京から地方への移住機運が高まった、と言われていたのです。しかし2022年は再び東京都が最大の転入超過自治体となりました。

これが東京への一極集中再びと言われる理由です。

この記事は旧ホームページの記事を再掲載したものです。オリジナル投稿は2023年1月です。

2021年転出超過となった東京23区への転入が一気に回復

この東京都の転入超過を牽引したのが東京都特別区部(23区)です。2021年は1.4万人の転出超過でしたが2022年は2.1万人もの転入超過。実に3.6万人も増加となったのです。

23区以外の郊外市町村も引き続き人気です。23区の他、さいたま市、横浜市、千葉市、藤沢市、船橋市、八王子市、相模原市、流山市、町田市が東京圏(一都三県)の転入超過Top10市町村です。

東京への転入超過は地方移住ブームの終わりを示すのか?

この東京都への転入超過拡大、特に郊外ではなく23区への転入回帰を受け、地方移住ブームは終わった、と言われています。では実態はどうなのでしょう?もうちょっと詳しくみてみましょう。

東京都からの転出者は継続して増加トレンド

地方移住人口が増えているのか、残念ながら直接的な統計を見つけることができませんでした。そこでここでは総務省統計局のデータから「東京都からの転出者」を地方移住と定義してみます。

2018年、コロナ前と比較してみましょう。2018年の東京都からの転出者は380,784人、2022年は401,764人です。5年間で約2万人の増加、5年間の平均成長(CAGR)は+1.4%です。

ちなみに2021年は414,734人。2021年と比べると2022年は約1万人の減少となりました。直近1年間は減少しているものの5年間トレンドで考えれば緩やかな増加と言えそうです。

地方移住は増えている?減っている?

東京都からの転出は地方移住というよりも都心の地価高騰を受けて郊外への転出が中心という印象もあります。そこで首都圏(一都三県)からの転出者トレンドもみてみましょう。同じく2018年と比較してみます。

2018年の一都三県からの転出者は906,055人、2022年は933,799人でした。5年間で約2.8万人の増加、5年間の平均成長(CAGR)は+0.7%です。こちらは2021年と比較しても増えています。

地方移住という観点ではこの首都圏からの転出の方が適切だと思います。CAGR+0.7%と緩やかではありますが毎年増加トレンドを続けています。

そもそも地方移住はブームなのか?

ではこの値を見て、地方移住ブームは終わった、と言えるでしょうか?というよりそもそも地方移住はブームなのでしょうか?CAGRはわずか+0.7%です。例えばモバイルゲームや動画配信サービスなどの市場成長率と比べると、ほぼゼロ成長。これでは日本社会全体でのブームとは言えないでしょう。

しかし地方自治体からの目線は異なります。例えば首都圏からの転出人口は2021年と比較しても9千人以上増えているのです。そしてこの成長率が続くならば2023年は94万人となりさらに6千人以上増えることになります。

潜在的移住人口が数千人単位で増える、というのはそもそも人口が数万人規模の地方自治体からすれば大きな期待です。つまり地方移住は首都圏の目線ではブームではなくとも、地方自治体の目線からは大きな潜在的機会なのです。

転入者が多い都道府県はどこ?

もちろん転出者は首都圏から、だけではありません。地方から首都圏へ、もしくは地域中核都市へ、という流れもあります。では転入者が多い都道府県がどこなのか?みてみましょう。

首都圏の魅力はダントツ。特に郊外エリアが人気

これは想像通りだと思いますが首都圏(一都三県)が圧倒的です。首都圏合計で1,033,318人となります。もちろん東京都が最大なのですが、周囲の郊外エリアの県も人気です。

全国の転入者ランキングで2位に神奈川県、3位に埼玉県と続きます。4位には大阪府が入りますが5位に再び千葉県が入り、首都圏の人気の高さを示します。

首都圏以外の転入超過はどこなのか?

では首都圏以外の転入超過の都道府県はどこなのでしょうか?総務省資料によれば、宮城県、茨城県、山梨県、長野県、滋賀県、大阪府、福岡県の7府県です。

このうち宮城県、大阪府、福岡県は地域の中核都市です。仙台には東北各県から、大阪には関西エリアから、福岡には九州各県から。各地域の受け皿として転入増となっています。

茨城県、滋賀県は広義の郊外エリアと言えるでしょう。茨城県つくば市に代表される少し離れた郊外が関東・関西各々で人気になっていると言えるでしょう。茨城県も滋賀県も実は1時間程度で都心に出ることができる便利なエリアなのです。

山梨県・長野県は移住者の受け皿となっている

残る山梨県、長野県は地方移住の受け皿となって転入が増えていると言えるでしょう。特に長野県は転入超過市町村Top3が安曇野市、松本市、軽井沢町。いずれも移住者の人気が高いエリアです。

一方で山梨県のTop3は甲府市、南アルプス市、甲斐市。リゾート地として人気の高い北杜市や南都留郡(富士河口湖町、山中湖村など)ではなく利便性の高いところが上位を占めています。

地方移住は緩やかに増えている。郊外・地方中核都市・利便性がカギ

今回はマクロ情報から地方移住を考えてみました。コロナが落ち着いてきたことから都心への流入が回復し東京一極集中に回帰しました。しかし並行して東京都からの転出、首都圏からの転出も緩やかな増加が続いています。

転入者が多い自治体を見ると3つのキーワードが浮かんできます。

  • 郊外(三多摩地区、神奈川、埼玉、千葉に加え茨城、滋賀なども広義の郊外となる)
  • 地方中核都市(宮城、大阪、福岡など)
  • 移住者向けには環境と利便性の両立がカギ(山梨では利便性の高いエリアが人気。長野も新幹線駅がある軽井沢や生活インフラが整っている松本などが人気)

地方移住というと人里離れた山奥や離島をイメージしがちですが、実際は利便性の高い地方都市への移住が人気であることがわかります。郊外や地方都市など利便性と豊かな環境を両立できるエリアなら「地方移住」と肩肘張らずとも気軽な「引越し」として挑戦できそうです。

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