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2022年ワーケーション動向予想「ワーケーションはちょっと落ち着くと予想」

2022年はワーケーションが「ちょっと落ち着く」と予想

今回は2022年のワーケーション動向を予想みたいと思います。2021年はワーケーションという言葉がややもすれば実態以上に話題になりました。ブームというのは「過度の期待のピーク」の後、「幻滅期」を経て定着していきます。

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2021年、様々な企業や官公庁、自治体がワーケーション推進や誘致を喧伝していました。2022年、これは多少落ち着くのではないかと考えています。

この記事は弊社運営ブログ、ヤツナビの記事を転載・加筆修正したものです。オリジナル記事(2022年1月5日公開)はこちらです。

なお、「2021年のワーケーション事情を振り返る」という記事に2021年の状況を簡単にまとめています。併せてご参照ください。

ワーケーションの市場規模はどう変わるのか?

まずはマクロな状況を見てみましょう。ワーケーションの市場規模は矢野経済研究所が2021年3月に発表しています。それによると2022年市場規模は909億円と推定。2021年の777億円(推定)から約17%成長となっています。2021年時点、ワーケーション経験者は就業人口の約3%(筆者推定)に限られています。ですので17%成長というのは十分にあり得るものでしょう。

リンクは2022年9月発表の資料になっています。2021年3月発表から改まり、市場規模は2021年699億円(見込)、2022年845億円(予測)に修正されています。本記事ではヤツナビ公開時(2022年1月5日)の内容で記載しています。

仮に「一人あたりのワーケーション平均費用」がそのままで「ワーケーション実施者」が17%成長するとします。するとワーケーション経験者が3.5%となります(3% x 117%)。これは就業人口である6659万人から推定すると233万人。2021年からの増加分(成長する17%相当)は約33万人になります。

ワーケーションを既に経験している人たちが一層多い頻度で実施する可能性もあるので33万人増というのは最大値になります。しかしある程度のワーケーション人口増は期待できると言えるでしょう。

2022年ワーケーション動向をキャズム理論で考える

ここからはワーケーションについてキャズム理論を当てはめて考えてみましょう。キャズム理論は主にハイテク製品やサービスが市場に普及していく際の理論です。対象顧客層や提供モデルが段階的に異なる、というのが主な内容です。ワーケーションも新しいトレンドと考えると同様に考えられると思います。

キャズム理論そのものはここでは深く説明しません。Webで概要を説明しているサイトも多くあります。詳しく知りたいという方は書籍を読んでもらうのが一番わかり易いでしょう。

2021年ワーケーションはイノベーター層が主な対象

キャズム理論ではイノベーター層は全体の2.5%と言われています。一方でワーケーションの経験者は若干統計によりバラツキがありますが約3%と推定されます。ほぼ合致する比率と言えそうです。

キャズム理論におけるイノベーター層。この層は先進性、新規性そのものに価値を覚え、サービスの完成度にはあまりこだわりません。自身で足りない部分を補うなど、その領域への愛情と理解を備えています。

2021年までのワーケーション実施者はこの層でした。リモートで働くことに慣れている。そして場所が変わっても仕事の内容や品質があまり変わらない人達が中心でした。仕事の生産性が変わらないならば、好きな場所で働く方が幸福だ。そう考えて積極的に試行錯誤しながらワーケーションを楽しんでいる層です。

2022年ワーケーションはアーリーアダプター層へ広がる

キャズム理論ではイノベーター層に続く市場が定義されています。アーリーアダプター層です。こちらは全体の約13.5%とされています。イノベーター層の2.5%と合わせると全体市場の約15%となります。

キャズム理論ではアーリーアダプター層はサービスの詳細やメリットに敏感とされます。また、一般に「インフルエンサー」とか「オピニオンリーダー」と呼ばれる人たちもこの層にいることが多いと言われています。

2022年はアーリーアダプターの一部がワーケーションを始める年でしょう。2021年3月に観光庁が行った調査によると、ワーケーションに「非常に関心がある」と回答しているのは約9%。この一部が実際にワーケーション実施に踏み出していくと考えています。

なお、ワーケーションに興味がある(非常に興味がある+興味がある)のは28.1%となっています。日本でテレワークができる人が約35%程度とされていることからもテレワーク事情が大きく変わらない限りワーケーション対象市場はこの「全体の約3割」が上限と考えられます。

(参考)ワーケーションペルソナに基づく分類

神奈川ワーケーションnaviというメディアがワーケーションを行う個人を6つのペルソナに分類しています。詳細はLinkに委ねますがイノベーターのペルソナに近いものがいくつかあります。Type1(ノマドワーカー)、Type3(旅好きテレワーク会社員)、Type4(子連れワーケーター社員)、Type6(多趣味シニア経営者)などです。これらはいずれも自身で率先して新しいことに挑戦する人たちです。

一方でアーリーアダプター層に近いペルソナもあります。Type2(在宅勤務IT開発者)、Type5(大手企業働き方改革担当)などが挙げられます。既にワーケーション経験している人もいるでしょう。しかし今後更にこの層でワーケーションを楽しむ人増えることでしょう。

企業・自治体のワーケーションへの取組み動向予測

続いて企業や自治体などのワーケーションへの取組み動向について予想してみます。

企業におけるワーケーションは合宿・研修型が増えると予想

企業におけるワーケーションへの取組みは2022年になっても大きくは変わらないと思います。ワーケーションの前提となるテレワークが緩やかに縮小しているためです。そのため積極的にワーケーションを推進する(社内制度の改革など)動機づけが低下すると考えています。

その中で企業の取組みとしては合宿・研修型のワーケーションが増えてくるだろうと予想しています。これらは非日常的な場所で開催することで効果を高めやすいものです。ワーケーションと相性が良い活動と言えるでしょう。

特に先のワーケーションペルソナでいうType2(在宅勤務IT開発者)を中心とした開発合宿、Type5(大手企業働き方改革担当)を中心とした越境研修が注目です。「従業員エンゲージメント強化」はテレワークを選択した企業にとって重要な課題です。これを改善する活動となるのが合宿・研修です。アーリーアダプター層が求める実利も示しやすいものだと思います。

合宿型ワーケーションに興味がある方はこちらも併せてお読みください。

自治体のワーケーション誘致は優劣が明確になると予想

2021年は多くの自治体がワーケーション誘致を進めました。地方の市町村では人口が数万人以下というところも多いものです。関係人口が多少でも増えれば地域経済への影響が大きいのです。

しかしその内容は自治体によって千差万別でした。なかには補助金を使って無料(または格安)のオプション付き旅行を募るだけ、というものも見受けられます。

現時点ではワーケーションはまだイノベーター層が主流です。なので彼らの望むものが提供できるか否かで自治体の成否が大きく分かれる。2022年は自治体の優劣が明確になるだろうと予想しています。

一方で開発合宿や越境研修など企業(組織)向けのワーケーションは主にアーリーアダプター層が主体となります。これらの需要を取り込む自治体は今ワーケーション誘致に成功している自治体とは限らず、新たな展開も出てきそうです。

その他ワーケーションに関する動向予想

この他ワーケーションに関する動向として以下の出来事を予想します。

  • ワーケーションに不慣れなアーリーアダプター層が試行することで(WiFiが繋がらないなどの)失敗があり、面白おかしく「ワーケーションやってるとダメ」という論調の記事が複数出てくる(ブームの反動)
  • (コロナが落ち着いた場合)リベンジ消費で観光業界が復活し、強気な価格設定となる。結果としてワーケーターに人気の割安ホテル利用サブスクサービスのお得感が減少する
  • (コロナが再び危険になった場合)ホテル利用のワーケーションや合宿・研修型ワーケーションを避け、貸別荘やグランピング施設などで他人と関わらないワーケーションが人気になる。大っぴらにワーケーション実施中を宣言するのに抵抗がある層による「隠れワーケーション」が増える
  • キャンピングカー利用のワーケーションが人気になる。これはコロナ動向に関わらず、自由な移動を他人と出会わず、快適な個室オフィス環境を得られる、という観点で広がると予想

まとめ:2022年ワーケーション動向の予想

いかがでしたでしょうか?2022年が終わる頃答え合わせをしてみたいと思います。

コロナ状況の先行きはまだ不透明です。既に経験しているイノベーター層は2022年も活発にワーケーションを行うでしょう。一方でワーケーションが社会的に定着していくためにはアーリーアダプター層への拡大が必要です。

いずれにせよワーケーション、という言葉は2022年、「過度な期待のピーク」から「幻滅期」へ移行します。より現実的に扱われるようになるでしょう。メディアの露出も2021年より減るかもしれません。しかし実際の市場は大きくなる。そんな年になると考えています。

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