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ワーケーション状況。2023年の振り返りと2024年予想

合同会社TMRでは2021年からワーケーション状況について市場の振り返りと予想を行ってきました。そこで今回も2023年の振り返りと2024年の予想をしてみたいと思います。

TMRってどんな会社なの?代表はどんな人なの? → よかったらこちらも参照ください

2023年のワーケーションを振り返る

合同会社TMRでは2021年からワーケーション状況について市場の振り返りと予想を行ってきました。そこで今回も2023年の振り返りと2024年の予想をしてみたいと思います。

「ワーケーションと呼ばずとも新しい働き方は定着」と予想していた

まずは2023年の振り返りからいきましょう。年初に予想していた内容はこちらの記事を参照してください。

TMRでは2023年は「ワーケーションと呼ばずとも新しい働き方は定着」と予想していました。この予想は概ね的中したと考えています。ワーケーションという言葉がメディアに登場する機会も減りました。かつては日経トレンディのヒット予想番付にも挙げられた言葉ですが2023年のメディア露出はかなり減少しています。

ワーケーション実施率は4.5%、280万人であった

TMRでは2023年のワーケーション実施率を6〜7%(約450万人)と予想していました。しかしこれは4.5%(約280万人)に留まったと推測されます。2023年9月に発表されたパーソル総合研究所の「ワーケーションに関する定量調査」が参考になります。

この調査によるとワーケーションの実施率は17.4%。母数はリモートワーカーだけでなくオフィスに出勤している人も含まれます。これはすごい話です。就労人口は約6900万人ですから1200万人以上のワーケーション実践者がいる、ということになります。

実はこの調査には続きがあります。全体の17.4%というのは「普段の職場や自宅とは異なる日常生活圏外の場所で仕事をしながら自分の時間も過ごす」経験のある人。確かにワーケーションを細かく定義すればその通りなのですが、ちょっと違う印象を受けますよね。

これなら例えば営業で外回り中にカフェでメールチェックしたり、出張中に宿泊先のホテルで仕事をしたり、飛行場でビデオ会議をしたり、といったことも含まれます。これならオフィスに出勤している人でも経験したことがあるでしょう。

パーソルの調査では「ワーケーションをしている」という意識があるのはこの中で25.9%とのことです。つまり17.4% x 25.9% = 4.5%が一般的なワーケーション人口といえそうです。就労人口と照らし合わせると約280万人になります。

リモートワークの減少がワーケーションを停滞させた

2023年当初は6〜7%のワーケーション実施率と予想していたので、大きなギャップがあります。TMRはこれはコロナ5類移行のあとリモートワーク実施率が大きく減少したことが原因と考えています。

当初2023年のリモートワーク実施率を約30%と想定していましたがコロナ5類移行後はオフィス回帰が進み約20%に落ち着いた模様です。ワーケーションの前提はリモートワークです。リモートワーカーの母数が減ることでワーケーション市場が伸びなかったとTMRは考えています。

2024年のワーケーション市場規模予想

ではこのワーケーション、2024年はどうなるのでしょうか?まずは定量的な市場規模から予想していきましょう。これまで金額市場予想を発表していた矢野経済研究所が2023年以降は発表していません。(この辺りもワーケーションという言葉の露出が下がってきたことの象徴かもしれません)

そこでまずはワーケーション人口から予想していきましょう。

ワーケーション人口は280万人程度で横ばいと予測

TMRでは2024年のワーケーション人口は2023年と変わらず280万人程度で推移すると考えています。全体で4.5%というのはリモートワーカー(全体の約2割)の中では22%に相当します。つまりリモートワーカーの4, 5人に1人はワーケーションを実践していることになります。

リモートワーカーの中でワーケーションを実践している人は2022年から一貫して約22%で推移しています。これはワーケーションというライフスタイルを望む層(約22%)には既に定着していることを示します。TMRはリモートワーク実施率が現状の約2割で続く限り、大きな変更はなく280万人で横ばいと予想します。

金額市場の予想は難しいのですが、国内旅行1回あたりの支出が平均3万円と言われているので最低でも840億円程度(280万人 x 3万円)と推測します。この試算ではワーケーターひとり当たり年1回のワーケーション実施としています。ワーケーションはヘビー層とライト層で実施件数が大きく異なるので平均を取るのが難しいのです。仮に平均件数が2回ならば1680億円ということになります。

自由に場所を選ぶ働き方は当たり前になる

2024年、ワーケーションという言葉の露出はますます減少することでしょう。というのは一部(280万人)にとっての当たり前のライフスタイルであり、逆にいうと新しくどんどん流入してくる若い市場ではなくなってきているからです。メディアが取り上げたくなるような目新しさは減り、実践者にとってはより「当たり前」なことになっていきます。

リモートワーカーにとって気分や目的によって働く場所を選ぶことは既に当たり前になっています。今日は顔を突き合わせてディスカッションしたいからオフィスに行こう。今日は作業に集中したいから自宅にいよう。今日は新しいアイデアを考えたいから環境を変えてコワーキングスペースに行こう。

これがリモートワーカーの日常です。そして旅という非日常が有効なときにワーケーションに出かけるのです。

ひとの数だけスタイルがある。ワーケーションはより多彩に

そしてこのワーケーション、一つのスタイルでまとめることはできません。むしろ人の数だけスタイルがあると言えるでしょう。必ずしもコワーキングスペースを利用することがワーケーションとは限りません。

温泉旅館にこもるワーケーション。ビジネスホテルでソロワークして街を楽しむワーケーション。親子で旅をするワーケーション。いろんなスタイルがあります。

これは鉄道マニアに例えるとわかりやすいかもしれません。乗り鉄、撮り鉄...鉄道の楽しみ方はたくさんあります。新幹線が好きな人、ローカル線が好きな人、私鉄が好きな人...好みもさまざまです。ですが鉄道が好き、という共通項があります。

ワーケーションもこもってソロワークが好きな人、人と交流するのが好きな人、さまざまです。ですが、すべてのスタイルで共通するのは「快適に仕事ができる」ことです。快適に仕事ができる場所さえあれば、残りの時間の楽しみ方は人それぞれ。今後ワーケーションがリモートワーカーの日常になるにつれ、そのスタイルは多彩なものになっていくでしょう。