立川観光コンベンション協会というところで「MICEとワーケーションによる郊外都市関係人口の創出」という講演を行いました。これは立川という郊外都市での関係人口創出をどう考えるか?という内容です。...
郊外都市へのワーケーション誘致は田舎以上に難しい?
最近東京の多摩地区(23区外)でのワーケーション誘致に関わる機会がありました。その時、郊外都市にワーケーション誘致するのは田舎よりも難しいかもな、と感じました。そんな僕がヒントを得たのは実は大衆居酒屋のカウンターだったのです。
TMRってどんな会社なの?代表はどんな人なの? → よかったらこちらも参照ください
郊外都市にもポテンシャルはあるのだが...
例えば多摩地区の人口は約400万人。県として独立させても上位になる人口です。十分なビジネスポテンシャルはありそうです。でも、郊外都市の特徴をアピールするのは「自称何もない」田舎の自治体以上に難しいものです。
郊外都市ワーケーションに「非日常」はあるか?
ワーケーションの醍醐味は「非日常」です。普段と同じ仕事を普段と異なる環境で行うことで刺激を得る。それがワーケーションの価値ですよね。
「自称何もない」田舎には都市生活者にとって強烈な「非日常」があります。青空があり海や山があり虫の声があります。もちろん快適なワーキングスペースは必要ですが、何もないはずの景色が強烈な刺激となるのです。
郊外の弱点はどこも同じような街並みなこと
ですが郊外都市の多くはベッドタウン。どの街も同じような景色です。駅ビルにはスターバックスとマクドナルドとユニクロがあって、駅前にはコンビニとチェーン居酒屋とマンションが並ぶ街。ちょっと駅から歩けば一戸建ての住宅地。公園や神社はあっても名所と呼ぶほどでもない街並みです。
例えば国分寺に暮らす人が立川に非日常を感じるのか?調布に暮らす人が府中に非日常を感じるのか?これは結構難しいな、と感じました。おそらく他のエリアでも大都市周辺の郊外都市には似たような課題感があるのではないでしょうか。
近所でも刺激を得られるサードプレイスは作れる
最初、僕はその街のユニークなところを一所懸命に探しました。立川にあって国分寺にないもの。府中にあって調布にないもの。もちろん細かい部分で独特のものはありますが決定的な独自性はなかなか見つけられませんでした。
趣味の大衆居酒屋巡りが発想の転換になった
実は僕の趣味のひとつに大衆居酒屋巡りがあります。仕事で外出すると、帰り道につい、その街だけの大衆居酒屋に立ち寄ってしまうのです。全国チェーンではなく個人店もしくはその街だけのチェーン店。ひとりで入っても会話を楽しめる、そんな店を探します。
立川も町田も調布もそんなに街の景色は変わらない。でもその街だけの居酒屋に顔を出すと楽しい非日常を体験できます。
あれ?居酒屋なら新しい刺激を感じるのに、なんでワーケーションだと似たような街だとダメだと決めつけてるんだろう?ここが発想の転換点になりました。
人との交流がサードプレイスの価値になる
僕は主に八ヶ岳エリアでワーケーションや移住誘致といった地域関係人口創出事業を行っています。八ヶ岳にはもちろん豊かな自然はあるのですが、それは軽井沢や白馬にも同じようなものがあります。
ではなぜ僕にとって八ヶ岳が魅力的なのか?それは環境+人でした。八ヶ岳はどちらかというとスモールビジネス起業をしている人が多い土地です。コワーキングスペースに出向き、フリーランスやスモールビジネス起業家と出会い交流する。それが楽しくて出かけているのです。
そもそも八ヶ岳で働いていると、家にも快適なワークスペースを作れるのでソロワークだけなら外に出る必要はありません。ホームオフィスで十分なのです。でも人との交流があるからコワーキングスペースに出かけたくなる。つまり人との交流がサードプレイスとしての価値を作っているのです。
今日はちょっと違う街で面白い居酒屋を開拓してみようかな。それと同じ感覚でご近所ワーケーションに出向く。ここに郊外都市ワーケーションのチャンスがあると感じました。
郊外都市でワーケーション誘致するには
「ここなら面白い人と交流できそうだな」そう思わせる場所が重要なのです。もちろんWiFiがあって、コーヒー無料で、Zoom用個室ブースがあって、といった設備も大事ですがそれだけでは人は集まりません。
山奥や海辺など、そこの環境そのものが非日常となる場所ならば快適な設備も十分集客の武器になるでしょう。なぜならそこには環境という強烈な非日常があるからです。
でも郊外都市には街そのものに大きな刺激はないのです。それに郊外都市ならコワーキングスペースに行かなくとも、ファミリーレストランやカラオケボックスでもソロワークはできますからね。
都市型ワーケーションはコミュマネが鍵を握る
いい居酒屋は常連客と初めての客をうまくお店のマスターが繋いでくれるものです。コワーキングスペースではそれはコミュニティマネージャ(コミュマネ)の役割になります。
あの人とこの人を繋いだらお互い刺激を得そうだな。この人にはこんなヘルプを入れたら喜ぶかな。そんなコミュマネがいるコワーキングスペースならば、近所の街であってもたまには刺激を受けに行きたくなるものです。
オフィスに出勤するより近くにもっと楽しくて快適なサードプレイスがある。それこそが郊外都市がワーケーション誘致のために重要なキーワードなんだな。そこに気づいたのは、とある郊外の街の居酒屋カウンターでした。
TMRの地域関係人口創出についてはこちらも参照ください。