奥多摩エリアは東京都ながら豊かな自然が残るエリアです。この奥多摩エリアの魅力を伝える地域特化型観光事業者である「東京マウンテンツアーズ」様の事業戦略を整理するワークショップを開催しました。...
Chatwork様とのパートナー事業戦略協業が事例公開されました
TMRではSaaS事業者向けに戦略壁打ちなどのコンサルティングを提供しています。Chatwork様およびChatworkストレージテクノロジー(CST)様との協業が事例として公開されたのでご紹介します。この2社とは主にパートナー事業戦略を整理しています。
TMRってどんな会社なの?代表はどんな人なの? → よかったらこちらも参照ください
フリーランス紹介のSollectiveにて事例公開中
この事例はフリーランスの成功を支えるオールインワン・プラットホームを提供している株式会社ソレクティブ(Sollective)が公開しています。(事例リンクはこちら。Sollectiveのサイトへ移動します)
実は今回の協業を仲介してくれたのがこのSollectiveです。フリーランスの登録サイトといえばココナラ、ランサーズなどのクラウドソースが多い中でこちらはどちらかというと転職エージェントのようなスタイル。企業の要望に応じたフリーランスを紹介する事業です。
今回の事例取材に対応したライターやカメラマンももちろんフリーランス。会社の運営にも多くのフリーランスを活用しています。この人材スキルに弾力性を持った企業運営スタイル、TMRの考える「新しい働き方。暮らし方」にも通じる世界であり応援しています。
SaaS事業者はパートナー事業に悩んでいる?
Chatwork様、CST様とお話をしていてパートナー事業に悩んでいるSaaS事業者は多そうだと感じています。多くのSaaS事業者はインバウンド型直販営業モデルからビジネスを始めます。しかし途中からパートナー事業への拡大を試みます。その背景にはどんなことがあるのでしょうか?
今回取材に応じて頂いたChatworkコミュニケーションプラットフォーム本部 セールス・カスタマーサクセスユニット ユニット長の真鍋馨様のコメントです。
"SaaS 市場はだんだん成熟してきて、顧客への直営業が難しくなっています。なので今はどこも代理店への営業に積極的ですが、自信を持って戦略や仮説を立てられる人がまだまだ少ない会社さんも多い状況ではないでしょうか。"
(出典:Sollectiveの事例記事より抜粋)
インバウンド営業モデルだけでは成長が鈍化してしまう
インバウンド型直販営業モデルとは顧客啓蒙するコンテンツを展開し、顧客の能動的なアクション(トライアルやメール登録など)に対して営業活動を行います。つまり潜在的であれ顕在的であれそのソリューションに興味がある顧客層が対象となります。
これはビジネス立ち上げのタイミングでは有効な営業モデルです。Low Hunging Fruit(手に取りやすい果実)という言葉がありますが、製品特徴と顧客課題が合致(PMF; Product Market Fit)する即刻獲得すべき市場だからです。
ですがいずれこの市場は獲得し切ってしまいます。そして成長が鈍化し始め、違う顧客層の開拓を目指す必要に迫られるのです。
キャズム理論を考えるとパートナーとの協業が必要になる
少し話がかわりますがキャズム理論をご存知でしょうか?これは新しい技術や製品が普及する際には段階に応じて異なる購買特性の顧客へアプローチが必要になる、という理論です。キャズム理論によると市場は大きく5つの購買特性に分類されます。
- イノベーター(新しい技術そのものに価値を求める革新者:約2.5%)
- アーリーアダプター(新しい技術の実利に価値を求める初期採用者:約13.5%)
---- <ここの間に大きな価値観の谷(キャズム)があります> ----
- アーリーマジョリティ(初期採用者の事例を見て判断する前期追随者:約34%)
- レイトマジョリティ(新技術が浸透してから導入する後期追随者:約34%)
- ラガード(新しい技術の導入を目指さない遅滞者:約16%)
新技術の普及にはアーリーアダプターが鍵を握ると言われています。約13.5%と比較的市場も大きくなり、ここをいち早く確保することがビジネスの成否を左右します。また、アーリーアダプターはインフルエンサーになりやすく、より大きな市場であるアーリーマジョリティ層へも影響を与えるためです。
イノベーター、アーリーアダプターは自ら情報を収集します。つまりインバウンド型直販営業が機能しやすい顧客層です。一方でアーリーマジョリティは事例の有無や信頼できるパートナーの提案から判断します。そこで事業が拡大しアーリーマジョリティ層を開拓するようになるとパートナーとの協業が欠かせなくなってくるのです。
しかしパートナー事業には独特の課題が
そこである程度の顧客基盤を作ったSaaS事業者の多くがパートナー事業に注力していきます。しかしパートナー事業にはこれまでのインバウンド型直販営業モデルとは異なる課題があるのです。
パートナーは自社外の企業なので必ずしも同じ目標を共有できるとはかぎりません。この同床異夢ともいえる環境でビジネスを作る必要があるのです。
パートナーへの期待を明確に定義する
まず重要なのはパートナーへの期待を定義することです。もちろん最終的には新しい顧客へ販売してくれることなのですが、販売においてパートナーが担う役割はさまざまです。
これは顧客層(エンタープライズ市場/SMB市場/特定産業市場)やSaaS事業者のポートフォリオ(インフラ領域/ビジネスユーザー向け)によっても異なります。
例えばエンタープライズ向けインフラ製品ならば、さまざまなステークホルダーと調整する必要があります。既存システム顧客を数多く抱えているインテグレータと組むべきか?ディスラプター(破壊者)として新しいパートナーと組むべきか?技術の文脈で進めるのか、ビジネス価値の文脈で進めるのかによってもパートナーへの期待も変わってくるでしょう。
一方でSMB向け単機能ツールならば期待値も変わってします。その機能をもっとも効果的に顧客ペイン解決のために伝えられるのは誰なのか?SMB向け単機能ツールは案件単価も小さく商談期間も短いかわりに数多くの案件が必要になります。
営業モデルだけでなくプログラム制度も重要
パートナーへの期待が明確になったら営業モデルを考えなくてはなりません。少数の忠誠心の高いパートナーに特化するのか?業界大手パートナーを開拓するのか?ディストリビュータを活用するのか?など判断すべき点は数多くあります。もちろん各々にメリット・デメリットがあり、自社の能力やリソース、製品特性などから判断していく必要があります。
またパートナー事業を軌道に乗せるにはプログラム制度も重要です。パートナーが正しく製品の価値を顧客に伝えられるように育成も必要になってきます。パートナーが負うべき能力(認定資格取得など)やパートナーへの利益(仕切制度や報奨制度など)も整えていかなくてはなりません。
多くの企業では常に十分なリソースがない
しかし残念ながら多くのSaaS事業者にはパートナー事業の構築に十分なリソースや知見がありません。パートナー事業はパートナーという第三者を活用(レバレッジ)するビジネスなので直販営業部門ほどの人数を置かないことが一般的だからです。
限られたリソースで事業を進めるには優先順位を定めて段階的に進めるしかありません。戦略的に目指すべき姿(To Be)はどうか?そして数多くの制約条件のもとで今、手をつけるべきことはなにか?を考えなくてはなりません。
また戦略通りに進まなかった場合にどうピボットしていくか?も重要です。方針変更は悪いことではありません。戦略的に、そして戦術的に、振り返り修正していく必要があるのです。
TMRはあなたのパートナー事業を一緒に作ります
TMR代表の玉利は数多くのIT企業でパートナー事業責任者を務めてきました。立ち上げ期、立ち上げ後の拡大期、製品ポートフォリ拡大期(クロスセル)などさまざまな事業ステージに関わってきました。インフラ製品、アプリケーション開発プラットホーム、単機能ツールなど幅広い製品において、エンタープライズ向けもSMB向けも経験しています。
他社が成功しているモデルをそのまま真似をしても自社リソースで同じことができるとは限りません。あなたにとって最適なパートナー事業を構築したいならばTMRと一緒に考え、作っていきませんか?