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TMR代表・玉利がパートナーサクセス社のエグゼクティブフェローに就任しました

合同会社TMRの代表である玉利裕重がパートナーサクセス株式会社(東京都港区)のエグゼクティブフェローに就任しました。パートナービジネス(代理店販売)の業績を伸ばすPRM(代理店連携管理クラウド)の拡大を目指します。なお本件はパートナーサクセス社からプレスリリースも行われています。

TMRってどんな会社なの?代表はどんな人なの? → よかったらこちらも参照ください

TMR代表の玉利は日本ヒューレット・パッカード(現ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)、EMCジャパン(現デル・テクノロジーズ)、レッドハット、Dropbox Japanなどで20年間以上パートナービジネスの責任者を務めてきました。パートナービジネスは日本IT業界において重要なビジネスモデルでありながら、営業個人の属人性に依存してきました。

パートナーサクセスのPRMはこれを組織として対応できるようにします。TMRはパートナーサクセスが日本IT業界のパートナービジネスをさらなる発展に広げるものだと考えています。

パートナーサクセスはPRMという新しい世界を創る企業

パートナーサクセス社とはIT業界のイベントで出会いました。PRM(パートナー関係管理)の国産専業ベンダーということは聞いていましたが、正直なところイベントで話を聞くまで詳しく知りませんでした。CRM(顧客関係管理)は既に日本でも広く普及しています。CRMの考え方が米国発祥なので海外ベンダーがほとんどです。

Salesforce、ServiceNow、HubSpotなどが大手CRM製品です(TMRはHubSpotを利用しています)。OracleやMicrosoftなど大手ベンダーもCRMを提供しています。国産のCRMもありますが、これらの多くはSFA(営業自動化)の機能が中心でCRMという包括的なエリアをカバーできていないものが多い印象です。

このCRMの考え方をパートナービジネスに当てはめたのがPRMです。Salesforceのような大手CRMベンダーもPRMの機能を提供しています。

多くのPRMは単なるパートナーポータルに留まる

つまりPRMという市場は既にあるわけです。ですがPRMはCRMほど活用されていないのが実態です。20年以上外資系IT企業でパートナー事業に触れてきましたが、PRMを効果的に利用できているところはほとんどありませんでした。多くのPRMはパートナー企業単位で登録し、販促チラシやトレーニング動画を提供するようなポータル機能に留まっていました。先進的な企業でも報奨金の申請や案件登録(Deal Registration)をPRM経由で行う、という程度です。

直販ビジネスでは既にCRMはMA(マーケティング自動化)とSFAを統合しています。マーケティングがコンタクトを獲得し、営業がフォローする。全ての顧客とのコミュニケーションや案件はCRMで管理されています。

一方でパートナービジネスは未だに担当営業の属人性に依存しています。パートナービジネスでも案件を全てCRMに登録している企業もありますが、それはあくまでも顕在化した問い合わせだけです。水面下でパートナーが提案している案件を捕捉することはできませんでした。

パートナービジネスには固有の課題がある

PRMがあまり普及しない(もしくは導入しても効果が得にくい)理由としてパートナービジネスの複雑性があります。直販ビジネスの場合、全ての案件は自社営業のコンタクトから始まります。顧客側の窓口も明確です。もちろん大企業のように意思決定プロセスが複雑な顧客では関わるステークホルダーを理解する必要がありますがコミュニケーションはシンプルです。

ですがパートナービジネスの場合は彼らは「買う」立場ではなく「売る」立場なのです。しかも数多くの企業の製品を売る立場なので製品知識などは一つの製品だけを扱っているメーカー営業には及びません。メーカーからすればパートナーの営業が自社製品を提案できるように育成(勉強会など)を行わなくてはなりません。

一方でパートナーからすれば特定メーカーの製品だけにこだわる必要はないので、忙しい中熱心に製品勉強に時間を割く動機がありません。そこでメーカーは優先的に自社製品を提案してもらうために報奨金を設定したりキャンペーンを仕掛けたりするのです。またパートナー社内に自社製品を推進する組織を作るといった彼らの事業戦略に自社製品を組み入れることも目指します。もっと基礎的な話をすれば企業と企業のビジネスですから基本売買条件や販売目標、仕切り率などの契約締結も必要です。

しかもこれら取引条件は「鶏と卵」の関係にあります。優先的に扱ってもらうためには売れる証明となる案件実績が必要。でも案件実績を積むにはパートナー社内の現場営業の動機付けとなる優先的な条件が必要なのです。つまりパートナービジネスはパートナーという企業とパートナー社内の個人に対して同時に働きかける必要があるのです。

しかしパートナービジネスのリソースは限られる

ですが多くの企業ではパートナービジネスに多くの人材を配置していません。パートナービジネスというのは代理店を活用するビジネスモデルだからです。パートナー担当営業は第三者(パートナー)の力を使ってビジネスを広げるのだから直販ビジネスより効率的なはず、という考え方です。

これは既に安定期に入ったパートナーならば正しい話です。パートナー企業にいる何百人という営業がメーカー製品を売る体制ができています。少ない営業リソースで効率的なビジネスができるわけです。

ですが立ち上げ期のパートナービジネスはやることだらけです。トップ層との関係作り、優先的に販売してもらうための条件調整、パートナー社内の現場営業の育成、初期案件の獲得に向けた営業支援...。これらを限られたリソースで行うためにパートナービジネスは人脈を持った個人に依存し、極めて属人性が高いままなのです。

"Hack The Alliance"の考え方に共鳴

パートナーサクセスはPRMというツールを用いて、この属人的なパートナービジネスの効率を高めようとしています。"Hack The Alliace"という標語を掲げているのですが、僕はこの考えに強く共鳴しました。"Hack The Alliance"とは「企業同士の交わりを科学する」ということです。

これまで属人的にならざるを得なかったパートナービジネスを合理的に成長させるためにはツールやメソッドが必要です。僕自身も数多くの企業でパートナービジネスに触れながら、普遍的な要素を感じていて、もっと合理的に運用できる、と考えていました。ですがそれは日頃の営業手法やマインドといったソフトスキルを中心に考えていたのです。

一方でパートナーサクセスはPRMという実践を担保できるツールを持っています。これならば漠然としがちな戦略やフレームワークも実践できる。そう感じた僕はパートナーサクセスの考えに深く共鳴しています。

日本のパートナービジネスを一層活性化していきたい

パートナーサクセスは理念と実践を担保するツールを備えています。世界的にも特異といわれる日本のパートナー市場。この独特な市場にはまだまだ大きな可能性が秘めています。TMRはエグゼクティブフェローとしてこのパートナーサクセスの戦略に貢献していきたいと考えています。