「今月の利益、わかりますか?」——Excel経理が経営者の判断を遅らせている本当の理由
【30秒でわかる本記事のまとめ】
- 現状の問題: Excelは便利で現場にも馴染んでいる。でも「手軽だから中間ファイルが増え続ける」という業務構造が、経営判断のリアルタイム化を妨げている。
- エッセンス①: freeeのような統合型ツールは「税理士のためのソフト」ではなく、「経営者がリアルタイムで判断するためのERP」として設計されている。
- エッセンス②: データの正規化(情報を一元管理してきれいな状態に保つこと)こそが、経営のリアルタイム化の土台になる。
- 重要な発想転換: バックオフィスに「うちは特殊だから」という独自プロセスを持ち込むほど、経営のスピードは下がる。
はじめに:「あのとき、もっと早く動けていれば……」という経験はありませんか?
「あの出費、もう少し先に回せばよかった。資金繰りが月末にこんなにタイトになるとは思ってなかった……」
「決算を締めてみたら、想像より利益が出ていた。もっと早くわかっていれば設備投資に回せたのに。税金で持っていかれた……」
こういった経験、一度や二度ではないという経営者の方も多いのではないでしょうか。
Excelが悪いとは思っていない。現場も使い慣れているし、今まで何とかやってこられた。それは事実です。
でも、経営の判断に必要な数字が「いつも少し遅れて届く」状態になっていませんか?
実は、これには原因があります。
「とりあえず費用を集計したいから」Excelに転記。「今月の売上をざっくり確認したいから」Excelで集計。「勤怠実績をまとめてから給与計算したいから」Excelで整理してから会計ソフトへ入力——。
Excelは手軽で便利だからこそ、こうした「とりあえずの中間ファイル」が社内のあちこちに増えていきます。そしてその結果、経営判断に必要な数字は、誰かが集計・転記の作業を終えるまで、経営者の手元に届かない構造が出来上がっています。
先日、山梨県で活躍する公認会計士・ITストラテジストの仲田峻先生とのウェビナーでこのテーマを掘り下げました。今回はそのエッセンスをお届けします。
課題:問題の本質は「データの分断」にある
この問題を一言で言うと、データが繋がっていないことです。
売上はこのExcel、経費は別のExcel、請求書はWordで作成、入金確認はネットバンクの画面——。それぞれのデータは「ある」のに、経営全体の数字として一本に繋がっていない。
そして「中間ファイル」が増えるほど、もう一つの問題も生まれます。
〇〇最新版.xlsx、〇〇最新版更新済み.xlsx、〇〇最新版更新済み編集.xlsx....。「このデータ、正しいやつだっけ?」が誰にもわからなくなることです。転記・集計を繰り返すうちに、どれが最新の正しい数字なのか、自信を持って言えなくなる。
バックミラーを見ながら運転している状態、とでも言うべきでしょうか。試算表が届く翌月末に「先月はこうだったのか」と把握する経営は、構造的に判断が遅れます。
解決:なぜ「統合型ツール」が重要なのか
ここで大事な視点があります。
弥生やマネーフォワードは「税理士・経理担当者が月次決算を処理するためのツール」として優秀です。一方、freeeが目指しているのは少し違う。会計・給与・請求・経費・資金繰りのデータを一元管理するERP(統合業務システム)として設計されています。
つまり、「誰のためのツールか」が根本的に違う。
統合型ツールに一本化すると、「とりあえずExcelに集計」という中間工程が不要になります。入力は一回、データは一箇所。「このデータは正しいか?」という不安も、二度手間も、原理的に起きなくなります。
仲田先生がウェビナーでこんな問題提起をしていました。
「実は経営データは経営者だけが見るものではないのです。融資を受けるには銀行担当者なども見ます。そのときに整理されているデータとそうではないデータでは見え方が違います」
経営者が「今日の時点での経営状況」をリアルタイムで把握できる。試算表を翌月末に受け取るバックミラー経営から、今を見るダッシュボード経営へ。判断のスピードが変わります。
ここが重要!:「うちは特殊だから」を手放すことが最初の一歩
統合型ツールを検討するとき、必ずと言っていいほど出てくる声があります。
「うちは独自の商習慣があるから、システムに合わせるのは難しい」
気持ちはよくわかります。でも、ここに重要な発想の転換があります。
バックオフィス業務——経費精算・請求処理・給与計算・仕訳など——は、実はどの会社でも大きくは変わりません。ここに独自プロセスを持ち込めば持ち込むほど、システムは複雑になり、結果としてまた「とりあえずExcel」に戻っていきます。
仲田先生がウェビナーでこんな整理をしてくださいました。
「コア業務(会社の強みとなる領域)の独自性は重要。でもノンコア業務(経費・給与・請求など)は、むしろシステムに合わせることで劇的に効率が上がる」
独自のこだわりを持つべきは、顧客対応や技術・サービスの質——会社の競合優位性が出る領域だけでいい。バックオフィスを標準化して生まれた時間と精度が、経営のリアルタイム化を支えます。
もっと詳しく:ウェビナー対談アーカイブを無料公開中です
この内容をより深く、仲田先生との対談ウェビナー(約60分)でお話ししています。
- freeeとERP思想の話——弥生・マネーフォワードとの「設計思想の違い」
- 「コア業務とノンコア業務の切り分け方」——どこまでシステムに合わせるべきか?
- データが繋がると経営者の意思決定がどう変わるか
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